メイクは私にとって、自分の悩みを解決する手段でした。それがある時、「あなたのメイクは人を元気にしてくれる」と言われ、人にしてあげられる事の1つになりました。このメイクアップアーティストの仕事を通して何千人もの肌に触れ、悩みや困っている事を聞き、どうしたら役に立てるのかを考えながらメイクをしてきました。
メイクアップアーティストの仕事を長い間続けているうちに、転職まではいきませんが、もう一歩踏み込んでみたくなりました。メイクは1日で解ける魔法のようなもので、クレンジングをしたら消えてゆきます。この人のここを変えたらもっと良くなるのにと思っても、コスメやスキンケアでは限界がありました。メイクアップアーティストが行うメイクでは、根本的な治療はできないのです。綺麗にメイクをしようと思うなら、顔だけではなく心と身体の管理も大事です。
メイクアップアーティストである私が転職ではなく両方活かせるものは何かと考えた時に、鍼灸師だと思いました。鍼灸師だと思ったきっかけは、自分自身の体調不良の治療でした。鍼灸師の治療は、劇的に効果が出る事の魅力もありますが、考えていた事がピッタリとハマった感覚でした。東洋医学の考え方に『「天神合一思想」人と自然は一体』とあり、人の中にも自然があるとあります。それは、個人で成り立つ事ではなく全てが繋がっていると、私は解釈しました。正解はわかりませんが、なんとなく肌で感じていた答えがこの世界にあると思い、鍼灸師の技術を身に付けたいと直感しました。
私は、メイクアップアーティストからの転職というよりも、今までやってきたメイクアップアーティストとしての技術や経験と、これから学ぶ鍼灸師の知識と技術を活かして、私らしい鍼灸師としてのスタイルが、人々のこれからの日常に寄り添える存在にしていけたらと考えています。